2006年入社
TOSHITAKA IWASE
岩瀬 俊高
私が所属するシミュレーション事業部は、自動車のエンジン、モータなどの動きをパソコン上で模擬(シミュレーション)する技術を扱っています。それによって自動車開発の効率化やプロセスの確立、評価開発環境の構築を行うことが、主な仕事です。私のグループが手がけているのは、技術発展がめざましい電動車(ハイブリッド車や電気自動車、PHVなど)に関するモデルベース開発(MBD)で、主にバッテリーのモデル開発を行っています。
たとえば、バッテリーの大きさや形状が変わることによって、モータなど周囲の部品との相性がどう変わるのか。そうした試験を実物の自動車を使って一回ずつ行うのは、労力の面でもコストの面でも簡単なことではありません。そこで活用が期待されるのが、私たちが開発を進めているバッテリーのモデルです。より安全で航続距離が長いバッテリーの開発が求められる中、今後の進化に貢献できると考えています。
私がバッテリーのモデル開発に関わるようになったのは2018年で、それまでは12年間、ハイブリッド車の開発プロジェクトに携わっていました。最初に担当したのは、モータを制御する際に使う、ECU(エレクトロニックコントロールユニット)の電子基板の開発です。「私に担当させてください」と手を挙げたのは1年目の時なので、今思うとかなり生意気な新人だったと思います(笑)。その後、2年目の途中からはECUの「中身」にあたる制御技術を学び始め、プログラミングなども自分で行うようになりました。
さらに転機となったのが、入社5~6年目に経験した自動車メーカーへの出向です。自分で作ったECUを使い、新しいハイブリッドシステムの評価を一人で担当することになりました。当時は今のようなシミュレーション技術がなかったため、実験設備を使って評価を繰り返す日々。なかなか期待通りの結果が出ずに苦労しましたが、さまざまな課題を乗り越えながらシステム開発を成功させることができました。
私たちが手がけるモデルベース開発の仕事は、今までにないものを先行的に作る仕事ゆえに、「こうすればうまくいく」という正解があるわけではありません。では、何を心がければ良いのか。私が日ごろから大切にしているのは、できる限りお客様(自動車メーカー)の開発現場に足を運ぶことです。そうして開発者の方たちとコミュニケーションを重ねると、重点を置くべきポイントや、仕事の進め方についての改善点が見えてきます。ただ机の前で考えているだけではなく、それを実際に使う人と会って話をすることが大事だと感じています。
グループ長になった今、メンバーに、アドバイスをする場面がありますが、そういう時も決して課題解決の「正解」が分かっているわけではありません。しかし正解が分からなくても、前に進むための選択肢を提供することはできます。壁を越えるために何が必要なのかを、部下と一緒に考える。そうして選択肢を提供できるようになったのも、今まで社内外でさまざまな経験を積んできたからだと思っています。
私の趣味はゴルフです。行きつけのバーのマスターがとてもゴルフが上手な方で、その方に教わって面白さに目覚めました。
私が自動車メーカーに出向して大きな壁に直面していた時、いろいろと相談に乗ってくださった方でもあります。